【2025年最新】退職率の平均は?計算方法から原因、明日から使える改善策まで徹底解説

西野

経営層から「退職率を調べて対策を報告せよ」と指示を受けたが、どの数値を参考にすべきか、自社の計算方法が正しいのか、自信がない。客観的なデータに基づいて、説得力のある改善策まで落とし込んで報告したい。

若手の退職が続く…「退職率」の把握、経営層への報告に悩んでいませんか?

「ここのところ、若手の退職が続いていないか?うちの退職率は、世間一般と比べてどうなんだ?すぐに調べて、対策と一緒に報告してくれ」

ある日、経営層からこう指示を受け、何から手をつければ良いか分からず困ってはいないでしょうか。

客観的なデータを見つけようにも、どの数値を参考にすれば良いのか分からない。自社の計算方法が正しいのかも自信がない。

そして何より、現状を報告するだけでなく「具体的な改善策」まで求められているプレッシャーを感じているかもしれません。

この記事は、まさにそのような課題を抱える人事担当者のための「完全ガイド」です。

この記事を最後まで読めば、あなたは自社の現状を客観的なデータに基づいて正確に把握し、根本原因を突き止め、明日からでも実践できる具体的な改善策まで落とし込んだ上で、自信を持って経営層に報告できるようになります。

もう、情報の海で途方に暮れる必要はありません。

【2025年最新】日本の退職率の平均は15.0%台。まずは自社の立ち位置を知ろう

村上

まずはこの国の基準となる退職率15.4%という数値を基準に、自社の状況を客観的に把握することから始めましょう。業界や企業規模によって平均値は異なるので、より細分化されたデータと比較することが重要です。

読者の皆様が最も知りたい結論からお伝えします。

厚生労働省が発表した最新の「令和5年雇用動向調査結果の概要」によると、2023年の1年間の退職率は15.4%でした。

まずはこの数値を基準に、自社の状況を客観的に把握することから始めましょう。

もちろん、この数値はあくまで全体の平均です。

あなたの会社が属する業界や、企業の規模によって平均値は異なります。ここでは、より詳しく自社の立ち位置を把握するために、データを細分化して見ていきましょう。

【全体平均】2024年発表の最新データに見る全体の退職率

厚生労働省の調査によれば、2023年の入職率が16.4%、退職率が15.4%となっており、差し引きで1.0ポイントの入職超過(入職者が退職者を上回る状態)となっています。

これは、労働市場が活発であり、人材の流動性が高まっていることを示しています。

コロナ禍で一時的に停滞した経済活動が再開する中で、転職などの動きが活発化したことが背景にあると考えられます。

【産業別】特に退職率が高い・低い業界は?

自社の退職率を評価する上で、業界平均との比較は欠かせません。

同じ退職率15%でも、業界が違えばその深刻度は全く異なります。

産業分類 入職率 退職率
宿泊業,飲食サービス業 31.9 % 30.1 %
生活関連サービス業,娯楽業 24.3 % 23.5 %
サービス業
(他に分類されないもの)
22.1 % 20.4 %
建設業 12.0 % 10.3 %
製造業 11.2 % 9.9 %
産業計 16.4 % 15.4 %

出典:厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」より一部抜粋して作成

上記のように、「宿泊業、飲食サービス業」の退職率が突出して高い一方、「建設業」「製造業」などは比較的低い水準にあります 。

自社の業界の平均値と比較することで、より正確な現状認識が可能になります。

【事業所規模別】従業員数で見る退職率の違い

企業の規模も、退職率に影響を与える大きな要因の一つです。

特に中小企業の人事担当者の方は、自社の規模に近いデータにご注目ください。

事業所規模 退職率
1000人以上 12.8 %
300~999人 13.7 %
100~299人 14.8 %
30~99人 16.1 %
5~29人 18.0 %

出典:厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」より一部抜粋して作成

一般的に、企業規模が小さいほど退職率は高くなる傾向が見られます。

これは、大企業に比べて教育研修制度や福利厚生、キャリアパスの多様性などで差が出やすいためと考えられます。

自社の退職率を嘆くだけでなく、同規模の他社と比較してどうなのか、という視点を持つことが重要です。

正しく計算できていますか?退職率の計算方法と「離職率」との明確な違い

西野

経営層に報告する前に、自社の数値が本当に正確か確認したい。特に「退職率」と「離職率」の違いは混同しやすいので、公的な計算式と用語のニュアンスをしっかり整理したいと考えています。

客観的な比較を行うためには、まず自社の数値を正しく算出することが大前提です。

ここでは、実務で使える計算方法と、混同しがちな「離職率」との違いを明確に解説します。

これを読めば、経営層からの質問にも自信を持って答えられるようになります。

退職率の計算方法は法律では決まっていない?一般的な計算式を解説

意外に思われるかもしれませんが、「退職率」の計算方法は法律で明確に定められているわけではありません。

しかし、最も一般的で、厚生労働省の「雇用動向調査」でも用いられている計算式は以下の通りです。

一般的な退職率の計算式

退職率(%) = 期間中の離職者数 ÷ 1月1日時点の常用労働者数 × 100

例えば、あなたの会社(従業員150名)で、ある1年間(1月1日〜12月31日)に15名の退職者が出たとします。

その場合の計算は以下のようになります。

(15名 ÷ 150名) × 100 = 10%

この場合、年間の退職率は10%となります。

まずはこの計算式に則って、自社の正確な退職率を算出してみてください。

「離職率」との違いとは?混同しやすい用語を整理

「退職率」と「離職率」は、日常会話ではほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密にはニュアンスが異なる場合があります。

経営層へ報告する際に混乱しないよう、ここで違いを整理しておきましょう。

用語 主なニュアンス 使われる場面
離職率 自己都合、会社都合、定年などあらゆる理由で職を離れた割合を指す、より公的で広範な概念。 厚生労働省の「雇用動向調査」など、公的な統計調査で主に使われる。[4]
退職率 「離職率」とほぼ同義で使われることが多いが、企業によっては「自己都合退職率」のように理由を限定して使う場合もある。 各企業が内部管理指標として、より柔軟な定義で用いることがある。

一般的には、厚生労働省の定義に則って「離職率」という言葉を使う方がより正確と言えますが、社内での慣例があればそちらに従っても問題ありません。

重要なのは、報告の際に「どのような定義・計算式で算出した数値なのか」を明確に説明できることです。

なぜ自社の退職率は高いのか?よくある7つの原因を徹底分析

村上

退職率が高い場合、その原因は一つではないことが多いです。人間関係、労働条件、キャリアパスなど、7つの典型的な原因を複合的にチェックすることが重要。特定の部署で退職が相次いでいないか、心当たりはないか、確認してみましょう。

自社の退職率が平均よりも高い場合、その背景には必ず何らかの原因が潜んでいます。

ここでは、多くの企業で見られる7つの典型的な原因を解説します。

あなたの会社では、心当たりはないでしょうか?

一つずつチェックしてみてください。

原因1:人間関係(上司・同僚とのミスマッチ)

退職理由として常に上位に挙がるのが、職場の人間関係です。

特に、上司との関係性は従業員のエンゲージメントに直結します。

具体的には、「部下の話を傾聴しない」「高圧的な態度を取る」「適切なフィードバックがない」といった上司の問題や、同僚とのコミュニケーション不足、孤立感などが挙げられます。

特定の部署やチームだけ退職が相次いでいる場合、この原因が強く疑われます。

原因2:労働条件・環境(長時間労働・休日)

「給与は悪くないはずなのに、なぜか人が辞めていく…」

という場合、労働条件や物理的な職場環境に問題があるかもしれません。

慢性的な長時間労働、休日の取りにくさ、不公平なシフト制度、老朽化した設備、清潔感のないオフィスなどは、従業員の心身を確実に疲弊させ、退職の引き金となります。

原因3:評価・報酬制度への不満

従業員は「自分が正当に評価され、それに見合った報酬を得られているか」を常に見ています。

評価基準が曖昧であったり、上司の主観に左右されたりする制度は、従業員の不満を増大させます。

また、どれだけ成果を上げても給与に反映されない、あるいは業界水準と比較して給与が低い場合、より良い条件を求めて人材が流出するのは自然な流れと言えるでしょう。

原因4: キャリアパスの不透明性

特に成長意欲の高い若手社員にとって、「この会社で働き続けて、自分はどのように成長できるのか」という見通しは非常に重要です。

キャリアパスが示されていなかったり、魅力的なロールモデルとなる先輩社員がいなかったりすると、「ここにいても先が見えない」と感じ、自身の成長機会を求めて転職を決意してしまいます。

原因5:企業文化・組織風土のミスマッチ

風通しが悪く、意見を言いにくい。

失敗を過度に恐れ、挑戦が奨励されない。あるいは、過度なトップダウンで現場の意見が全く反映されない。

こうした企業文化や組織風土は、従業員の主体性やモチベーションを奪います。

採用時にどんなに魅力的な人材が入社しても、組織の文化に馴染めなければ、その能力を発揮できずに辞めていってしまいます。

原因6:仕事内容のミスマッチ

「実際にやってみたら、想像していた仕事と違った」というのも、特に若手社員に多い退職理由です。

採用段階での説明不足や、本人の希望とは異なる部署への配属などが原因で発生します。

自分の強みや関心を活かせない仕事、あるいは過度に単調でやりがいを感じられない仕事は、働く意欲を低下させる大きな要因となります。

原因7:エンゲージメントの低下

これら6つの原因が複合的に絡み合った結果として現れるのが、「エンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)」の低下です。

会社への信頼感や、仕事への誇りを失った従業員は、もはや組織に留まる理由を見出せません。

明確な不満がなくても、「なんとなくやる気が出ない」「会社に行くのが億劫だ」という状態が続いている場合、それは危険なサインです。

競合は教えてくれない、明日から使える退職率の具体的な改善策5選

西野

原因が特定できたら、次はいよいよ具体的なアクション。抽象的な精神論ではなく、中小企業でもすぐに実行できて、成果につながる実践的な改善策に絞って提案したいです。

原因を特定できたら、次はいよいよ具体的な対策のフェーズです。

ここでは、多くの競合サイトが語るような一般的な対策論ではなく、私たちがこれまで支援してきた中小企業の成功事例に基づいた、明日からでも実践できる具体的なアクションプランを5つご紹介します。

改善策1:現状把握から始める(サーベイの実施と分析)

憶測で対策を打つのは非効率です。

まずは、匿名の従業員サーベイ(アンケート)を実施し、退職の根本原因をデータで突き止めましょう。

重要なのは、満足度だけでなく「エンゲージメント」を測ることです。

具体的な質問項目例
  • 「あなたは、自分の仕事が会社の目標達成に貢献していると感じますか?」
  • 「あなたは、上司から定期的に適切なフィードバックを得られていますか?」
  • 「あなたは、この会社で働き続けることを、親しい友人に勧めたいと思いますか?(eNPS)」

IT系中小企業A社(従業員120名)では、このサーベイによって「評価制度の不透明さ」がエンゲージメント低下の最大要因であることを特定。

これを機に評価制度の見直しに着手し、翌年の離職率を3%改善させることに成功しました。

改善策2:1on1ミーティングの質の向上

多くの企業が1on1を導入していますが、単なる進捗確認の場になっていませんか?

大切なのは、部下のキャリアや成長、コンディションについて対話する「質の高い」1on1です。

効果的なアジェンダのテンプレート例
  • Check-in(5分): まずは体調やプライベートも含めた雑談から。
  • Reflection(10分): この2週間で、うまくいったこと、学んだことは?
  • Challenge(10分): 次の2週間で、挑戦したいこと、困っていることは?
  • Career(5分): 中長期的なキャリアについて、今考えていることは?

ある製造業のB社(従業員200名)では、全管理職にこのテンプレートを配布し、1on1の目的を「部下の成長支援」であると再定義しました。

結果、若手社員の定着率が目に見えて向上しました。

改善策3:オンボーディング・プログラムの見直し

新入社員、特に中途採用者が入社後3ヶ月以内に感じる「孤立感」は、早期退職の大きな原因です。

最初の90日間をいかにサポートするかが定着の鍵を握ります。

すぐにできるオンボーディング改善策
  • ウェルカムランチの設定
    配属部署のメンバー全員と、入社初週にランチ会を実施する。
  • メンター制度の導入
    年齢の近い先輩社員をメンターに任命し、業務以外の相談にも乗れる関係性を構築する。
  • 他部署紹介ツアーの実施
    入社1ヶ月以内に、関連部署を回り、誰が何をやっているのかを把握する機会を設ける。

これらの施策は、新入社員が組織に早く溶け込み、安心してパフォーマンスを発揮するための土台となります。

改善策4:公正で透明性のある評価制度の構築

従業員の不満が溜まりやすい評価制度は、「何をすれば評価されるのか」という基準を明確にし、そのプロセスを透明化することが不可欠です。

上司のさじ加減で評価が決まるような状態は、絶対にあってはなりません。

評価の納得感を高めるポイント
  • 目標設定(MBO/OKR)
    期初に、上司と部下が1対1で話し合い、双方が納得する形で個人目標を設定する。
  • 評価フィードバック面談
    評価結果を伝えるだけでなく、「なぜこの評価なのか」という理由を具体的な事実に基づいて説明し、部下の成長に繋がるフィードバックを行う。

まずは、評価面談の質を高めることから始めてみるのが良いでしょう。

改善策5:働きがいを高めるキャリア開発支援

従業員が「この会社なら成長できる」と感じられる機会を提供することも、有効なリテンション(人材定着)施策です。

中小企業でも導入しやすいキャリア支援策
  • 資格取得支援制度
    業務に関連する資格の受験費用や、合格後の報奨金を会社が負担する。
  • 社内勉強会の実施
    各部署の専門知識を持つ社員が講師となり、他の社員に向けて勉強会を開催する。
  • 1on1でのキャリア相談
    上司が部下の中長期的なキャリアプランに関心を持ち、必要な経験やスキルについて一緒に考える。

これらの施策は、従業員の成長意欲に応え、会社への貢献意欲を高める効果が期待できます。

よくある質問(FAQ)

ここでは、本文では触れきれなかった、人事担当者の皆様からよくいただく質問について、一問一答形式で簡潔にお答えします。

退職率が何パーセントから「やばい」と言えますか?
一概に「何パーセント以上が危険」という明確な基準はありません。
しかし、一つの目安として、自社が属する業界の平均値を大幅に(例えば1.5倍以上)上回っている場合や、前年比で急激に(例えば5ポイント以上)悪化している場合は、深刻な問題が起きている可能性が高く、早急な対策が必要です。
優良企業の離職率はどのくらいですか?
「優良企業」の定義は様々ですが、一般的に退職率が低いことは一つの特徴と言えます。参考として、新卒入社3年後の退職率が10%未満の企業は、定着率が非常に高い水準にあると考えられます。

ただし、重要なのは他社の数値を追いかけることよりも、自社の数値を継続的に改善していくことです。

まとめ:退職率の改善は、企業の未来への投資

村上

退職率という1つの数字と向き合うことは、ネガティブな作業ではありません。それは、従業員の声なき声に耳を傾け、より良い職場環境を創り出すための、未来に向けたポジティブな投資です。この取り組みこそが、企業の最も大切な資産である「人」を守り、企業の持続的な成長を実現するでしょう。

この記事では、退職率の平均値や計算方法といった基本的な知識から、その原因分析、そして明日から使える具体的な改善策までを網羅的に解説してきました。

最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。

  • 日本の平均退職率は15%台 。
    まずは公的データを基に自社の立ち位置を客観的に把握することが第一歩。
  • 退職率が高い背景には必ず原因がある。
    人間関係、労働条件、評価制度など、複数の要因を多角的に分析することが重要。
  • 対策は具体的でなければ意味がない。
    抽象的な精神論ではなく、サーベイや1on1の見直しなど、すぐに行動に移せるアクションプランに落とし込む。
  • 改善は一度きりではない。
    継続的にデータを測定し、施策の効果を検証し、改善を続けるサイクルを回していくことが不可欠。

退職率という一つの数字と向き合うことは、決してネガティブな作業ではありません。

それは、従業員一人ひとりの声なき声に耳を傾け、より良い職場環境を創り出していくための、未来に向けたポジティブな活動です。

そしてそれは、企業の最も大切な資産である「人」を守り、企業の持続的な成長を実現するための、何よりも重要な投資と言えるでしょう。

ぜひ、この記事でご紹介したアクションプラン・シートを活用して、あなたの会社の未来を創る第一歩を踏み出してください。

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