採用費用の完全ガイド|平均相場から明日から使える削減策・計算シートまで【2025年最新版】

西野

初めての採用予算策定、「何から始めるべき?」と悩んでいませんか?まさに私自身、初めて予算を任された時、専門用語と相場観の把握が難しくて不安でした。経営陣を納得させられる提案ができるように、基本から学びたいです。

初めての採用予算策定、「何から始めるべき?」と悩んでいませんか?

「来期の採用計画、予算も含めてまとめておいて」

上司から初めて本格的な予算策定を任されたものの、何から手をつけて良いか分からず、途方に暮れてはいないでしょうか。

経営陣を納得させられるだけの客観的な根拠を示したいけれど、社内に十分なデータがなく、世間の相場観もわからない。

検索しても専門用語が多く、自社に当てはめて考えるのが難しい…といった不安を抱えているかもしれません。

この記事は、まさにそのような課題を持つ、成長企業の人事・採用担当者のために書かれました。

採用コストの基本的な構造から、公的データに基づいた最新の平均相場、そして明日からすぐに実践できる具体的なコスト削減策まで、予算策定に必要な知識を網羅的に解説します。

読み終える頃には、自信を持って経営陣に採用予算を提案できるだけでなく、コストを最適化し事業成長に貢献するための具体的なアクションプランまで手に入れているはずです。

そもそも採用コストとは?正しく理解するための2つの内訳

採用活動にかかる費用を漠然と「採用コスト」と捉えているかもしれませんが、正しく予算を管理し、最適化するためには、その構造を正確に理解することが第一歩となります。

なぜ今、採用コストの把握が重要なのか

労働人口の減少などを背景に、人材獲得競争は激化の一途をたどっています。

このような状況下で、採用コストを正しく把握することは、単なる経費削減以上の意味を持ちます。

それは、限られた経営資源をどこに集中させるべきか、という意思決定の精度を高める「戦略的な投資活動」そのものだからです。

どの採用手法にどれくらいの費用をかければ、最も優秀な人材を確保できるのか。

これをデータに基づいて判断することが、企業の成長角度を大きく左右するのです。

【図解】採用コストは「内部コスト」と「外部コスト」で構成される

採用コストは、大きく分けて「内部コスト」と「外部コスト」の2種類で構成されます。

社内で発生する費用と、社外のサービスなどに対して支払う費用と考えると分かりやすいでしょう。

ペルソナはここの切り分けが曖昧なため、特に丁寧に見ていきましょう。

内部コスト
  • 採用担当者の人件費
  • リファラル採用のインセンティブ費用
  • 候補者との面談・会食費
  • 採用管理システム(ATS)の利用料
外部コスト
  • 求人広告媒体への掲載費用
  • 人材紹介会社への成功報酬
  • ダイレクトリクルーティングサービスの利用料
  • 採用イベントへの出展費用
  • 会社紹介パンフレットなどの制作費

これらの項目を漏れなく洗い出すことが、正確なコスト把握の基本となります。

【2025年最新データ】採用コストの平均相場はいくら?

村上

採用予算の提案を経営陣に通すためには、客観的な根拠が必要です。世間の「平均相場」は、その適正性を判断するための重要なベンチマーク。公的データを使って、自社の費用が適正かどうかを確認しましょう。

自社の採用コストが適正かどうかを判断する上で、最も重要な指標となるのが世の中の「平均相場」です。

ここでは、信頼性の高い公的データを基に、新卒採用と中途採用それぞれの最新の平均コストを見ていきましょう。

【新卒採用】一人あたりの平均採用コスト

新卒採用のコストに関する最も信頼性の高い情報源の一つが、株式会社リクルートの就職みらい研究所が毎年発表している「就職白書」です。

最新の「就職白書2024」によると、2023年度の新卒採用における一人あたりの平均採用費用は 114.5万円 となっています。 これは、求人広告費や人材紹介サービス費などの「外部コスト」のみならず、採用担当者の人件費などの「内部コスト」も含んだ包括的な数値です。

この数値を一つの基準として、自社の予算策定の参考にすると良いでしょう。

【中途採用】一人あたりの平均採用コスト

中途採用については、採用手法が多岐にわたるため、新卒採用よりもコストが高くなる傾向にあります。

株式会社マイナビが公表した「中途採用実態調査(2023年)」によると、2023年の中途採用における一人あたりの平均採用コスト(全体)は 41.1万円でした。

ただし、この調査は主に求人広告費や人材紹介成功報酬などの外部コストに焦点を当てており、内部コストを含めるとさらに高額になる可能性があります。

特に、専門性の高い職種を人材紹介経由で採用する場合、理論年収の30%〜35%が成功報酬として発生するため、一人あたりのコストが200万円を超えるケースも珍しくありません。

自社の採用単価を計算する方法と目標設定の3つのポイント

西野

平均相場が分かったら、次は自社の採用単価を正確に計算することが重要。特に、採用単価はポジションや手法によって大きく異なるので、細かくトラッキングできるように準備する必要があるでしょう。

平均相場を把握したら、次は自社の「採用単価」を実際に計算してみましょう。

採用単価は、以下のシンプルな式で算出できます。

採用単価の計算式

採用単価 = (内部コストの総額 + 外部コストの総額) ÷ 採用が決定した人数

例えば、3ヶ月の採用活動で内部コストが100万円、外部コストが80万円かかり、2名採用できた場合、採用単価は (100万 + 80万) ÷ 2 = 90万円 となります。

この数値を継続的に計測し、目標を設定することが重要です。

  • ポイント1: 採用ポジションごとに単価目標を設定する
  • ポイント2: 採用手法ごとの単価も算出し、費用対効果を比較する
  • ポイント3: 過去の実績と比較し、改善幅をトラッキングする

まずは現状を正しく計測することから始めてみましょう。

【競合と差をつける】明日から使える採用コスト最適化の5ステップ

村上

コストの削減は、単に安いツールに切り替えることではありません。「どの投資が最もリターンを生むか」を見極めることが重要です。ここから紹介する5つのステップは、その意思決定の精度を高めるためのものとなっています。

採用コストの構造と相場を理解したら、いよいよ具体的な最適化のアクションに移ります。

ここでは、競合他社の多くが踏み込めていない、具体的で実践的な5つのステップをご紹介します。

Step1: まずは現状のコストを「見える化」する

最適化の第一歩は、現状を正確に把握することです。

先に紹介した内部コストと外部コストの項目を参考に、直近1年間の採用活動で何にいくら使ったのかを全て洗い出してみてください。

この後のステップでご紹介する「シミュレーションシート」を活用すると、この作業を効率的に進めることができます。

Step2: 採用手法ごとの費用対効果(ROI)を比較検討する

次に、洗い出したコストを「どの採用手法で採用した人材か」という軸で分類し、手法ごとの採用単価を算出します。

これにより、どの手法が自社にとって最も費用対効果が高いのかが明確になります。

採用手法 概要 コスト構造 メリット デメリット
求人広告 Web媒体等に求人情報を掲載し、候補者からの応募を待つ 掲載料(固定) 多くの候補者にリーチできる可能性がある 応募がなくても費用が発生する、競合に埋もれやすい
人材紹介 エージェントに求める人物像を伝え、候補者を紹介してもらう 成功報酬型(理論年収の30-35%) 採用工数を削減できる、非公開求人も扱える コストが最も高い、エージェントの質に依存する
ダイレクト
リクルーティング
企業側からデータベース上の候補者に直接アプローチする プラットフォーム利用料(固定)+成功報酬 欲しい人材に直接アプローチできる、潜在層にも届く 運用工数がかかる、ノウハウが必要
リファラル採用 社員に知人・友人を紹介してもらう インセンティブ費用(紹介・入社時) コストを大幅に抑えられる、定着率が高い 人脈に依存する、制度設計が必要

これらの特徴を理解し、自社の採用目標に合わせて手法のポートフォリオを組むことが重要です。

Step3: 【企業フェーズ別】具体的なコスト削減策を実践する

画一的なコスト削減策は、必ずしもあなたの会社にフィットするとは限りません。

ここでは、多くの競合記事にはない独自の視点として、企業の成長フェーズに合わせた具体的なアクションプランを提案します。

①スタートアップ・ベンチャー向け(〜50名)

このフェーズの企業にとって、コストは最も重要な経営指標の一つです。

高額な費用がかかる手法は避け、知恵と工夫で乗り切りましょう。

  • リファラル採用の本格導入
    全社員を巻き込むためのインセンティブ制度や表彰制度を設計し、紹介文化を醸成する。
  • SNSの戦略的活
    X(旧Twitter)やLinkedInで、社員の日常や企業文化を発信し、採用ブランディングを強化する。
  • 採用ピッチ資料の作成
    会社の魅力や課題を赤裸々に綴った資料を作成・公開し、候補者の惹きつけとミスマッチ防止を両立させる。
  • Wantedlyなどの活用
    成果報酬型ではない採用広報プラットフォームを活用し、低コストで母集団を形成する。

まずは、お金をかけずにできることから徹底的に実践することが成功の鍵です。

②グロース期向け(50〜300名)

事業が急拡大し、採用人数も増えてくるこのフェーズでは、効率化への投資が重要になります。

属人的な採用活動から脱却し、仕組みで採用を成功させる体制を構築しましょう。

  • ダイレクトリクルーティングへの投資
    専門チームを組成し、主要なダイレクトリクルーティングサービスを本格的に運用する。
  • ATS(採用管理システム)の導入
    候補者情報の一元管理や選考プロセスの自動化により、採用担当者の工数を大幅に削減する。
  • 採用オウンドメディアの立ち上げ
    自社でコンテンツを発信し、中長期的な資産として候補者との接点を構築する。

攻めの投資を行うことで、結果的に一人あたりの採用単価を抑制することが可能になります。

Step4: ダイレクトリクルーティングとリファラル採用を使いこなす

近年の採用トレンドの中心は、間違いなくこの2つの手法です。

これらを使いこなすことができれば、コストを抑えながら優秀な人材を獲得することが可能です。

成功の鍵は、スカウト文面のパーソナライズや、紹介してくれた社員への手厚いフォローなど、候補者や社員一人ひとりと向き合う丁寧なコミュニケーションにあります。

Step5: 「採用ピッチ資料」で入社後のミスマッチを根本から防ぐ

採用コストを考える上で見落としがちなのが、入社後のミスマッチによる早期離職コストです。

一人の社員が早期に離職した場合、それまでにかかった採用コストや研修コストが全て無駄になるだけでなく、再度採用を行うための追加コストが発生します。

これを防ぐ最も有効な手段が、会社の良い面も悪い面も正直に伝える「採用ピッチ資料」の作成と活用です。

選考段階で候補者の期待値を適切にコントロールすることが、最終的に最も効果的なコスト削減策となるのです。

これだけは押さえたい!採用コストに関するQ&A

村上

実務担当者にとって、勘定科目や助成金などの具体的な情報は必須。特に助成金は要件が細かく、鮮度が命なので、必ず公式サイトで最新情報を確認するように伝えておきましょう。

最後に、採用コストに関してよく寄せられる質問について、簡潔にお答えします。

採用費用の勘定科目はどう処理すればいい?
採用費用は、その性質に応じて経費として計上されます。一般的には、以下のように処理されることが多いですが、詳細は経理担当者や顧問税理士にご確認ください。

  • 求人広告の掲載費: 「広告宣伝費」
  • 人材紹介の成功報酬: 「支払手数料」または「採用教育費」
  • 社員への紹介インセンティブ: 「給与手当」
採用活動で使える補助金・助成金はある?
はい、国や地方自治体が提供する様々な制度があります。例えば、特定の条件下で労働者を雇い入れる際に利用できる「トライアル雇用助成金」や「特定求職者雇用開発助成金」などが代表的です。

これらの制度は要件が細かく、改定も頻繁に行われるため、厚生労働省や管轄の労働局の公式サイトで最新の情報を確認することをお勧めします。

中小企業のリアルな採用コストは?
公表されている平均データは、多額の広告費を投じる大手企業の数値によって引き上げられている側面があります。そのため、中小企業の実態は平均よりも低いことが多いと考えられます。

重要なのは、平均値と単純比較して一喜一憂するのではなく、自社の事業計画や採用目標にとって、そのコストが「適切な投資」であるかどうかを判断することです。

まとめ:採用コストの最適化は、事業成長のドライバーになる

村上

採用コストは、単なる経費ではなく、未来の成長に向けた戦略的な投資。この記事で学んだ「見える化」と「最適化」のステップを実践し、事業全体の成長を加速させるドライバーとなってほしいです。

本記事では、採用コストの基本構造から最新の平均相場、そして競合と差をつけるための具体的な最適化ステップまでを網羅的に解説しました。

採用コストと向き合うことは、単なるコストカット活動ではありません。

それは、自社の魅力を再定義し、未来の仲間と出会うための最適な方法を模索する、創造的で戦略的な活動です。

この記事で得た知識と、提供するシミュレーションシートが、あなたの会社の採用活動を成功に導き、ひいては事業全体の成長を加速させる一助となれば幸いです。

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