「紹介報酬を10万円に設定したのに、半年経っても紹介がゼロ……」 「社員に声をかけても『周りに転職希望者がいない』とはぐらかされる」
コストを抑えられ、マッチ度の高い人材が採れると期待して「リファラル採用(社員紹介)」を導入したものの、全く機能せずにお困りの人事担当者様は少なくありません。
実は、リファラル採用がうまくいかない企業の多くは、制度や報酬の設計以前に、もっと根本的で深刻な問題を抱えているケースが多いのです。
今回は、リファラル採用が失敗する3つの原因と、それを解決するためにまず取り組むべき「組織の健康診断」について解説します。
なぜ「リファラル採用」が最強の手法なのか?【定着率データ】
まず、リファラル採用に取り組むべき理由をデータで確認しましょう。 海外の採用管理システムJobviteの調査によると、求人媒体経由の採用者に比べ、リファラル経由の採用者は入社後の定着率が圧倒的に高いことがわかっています。
- 入社3年後の定着率:
- 求人サイト経由:約14%
- リファラル経由:約47%
また、採用コスト(CPA)も大幅に削減でき、入社までのリードタイムも短い傾向にあります。 「自社のカルチャーをよく知る社員」がフィルター役となるため、ミスマッチが起こりにくいのが最大の要因です。
リファラル採用が失敗する3つの原因
これほどメリットがあるのに、なぜ多くの企業で制度が形骸化してしまうのでしょうか? よくある失敗原因は以下の3つです。
1. 手続きが面倒すぎる(ハードルが高い)
「紹介したい人がいたら、履歴書と職務経歴書を人事に提出してください」 このように、紹介する社員側に**「事務的な負担」を強いていませんか? 友人と飲んでいる時に「ちょっと話聞いてみる?」と気軽に誘えるよう、専用のURLをシェアするだけ、あるいはカジュアル面談のリンクを送るだけ、といった「紹介ハードルの低さ」**が重要です。
2. 報酬(インセンティブ)頼みになっている
「報酬を上げれば紹介が増えるはず」というのは危険な思い込みです。 もちろん感謝の気持ちとしての報酬は大切ですが、金銭的メリットだけで動く社員はごく一部です。逆に、高すぎる報酬は**「友達を売ってお金をもらう」**という心理的抵抗を生み、かえって紹介を抑制してしまうことさえあります。
3. 【最重要】そもそも「自社を友人に勧めたい」と思っていない
これが最も本質的かつ、多くの企業が直視できていない原因です。
「あなたは、大切な親友に自社への入社を心から勧められますか?」
この質問に「YES」と即答できない社員が多ければ、どんなに高額な報酬を用意してもリファラルは起きません。
- 「うちは残業が多いから、友達には勧められないな……」
- 「人間関係がギスギスしているから、友達を入れたら申し訳ない」
リファラル採用の成否は、採用手法の問題ではなく、「従業員エンゲージメント(会社への愛着・満足度)」の高さに直結しているのです。
リファラル活性化の第一歩は「組織改善」から
リファラル採用が活発な会社は、例外なく「社員が自社のファン」です。 「この会社で働くのは楽しい」「もっと良い仲間を増やしたい」という純粋なポジティブな感情が、自然と紹介を生んでいます。
もし、制度を入れても紹介が起きないのであれば、それは**「組織に対する無言のNO」**かもしれません。
無理に紹介を促す(ノルマ化する)前に、まずは以下のステップを踏むことをお勧めします。
- eNPS(Employee Net Promoter Score)を測る: 「親しい知人に自社をどの程度勧めたいですか?」という質問で、現状の推奨度を数値化します。
- ボトルネックを解消する: 「なぜ勧めたくないのか?」というネガティブな要因(長時間労働、評価への不満、将来性への不安など)を特定し、改善します。
- 「ファン」を作る: 組織改善が進み、エンゲージメントが高まれば、社員は自発的に「うちの会社、最近いい感じだよ」と語り始めます。
まとめ
- リファラル採用は「定着率」と「マッチ度」が非常に高い、効果的な手法。
- 手続きの煩雑さや、金銭的報酬への過度な依存は失敗の元。
- 紹介が増えない最大の原因は、**「社員自身が会社を勧めたいと思っていない(エンゲージメントが低い)」**ことにある。
- 制度をいじる前に、まずは組織の課題に向き合い、「紹介したくなる会社」を作ることが遠回りのようで最短ルート。
次回の記事では、これまでの総まとめとして、採用から定着までを一貫して成功させるための**「エンゲージメント経営」**の全体像についてお話しします。


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