「スカウトメールを送ってカジュアル面談までは組めるのに、そこから正式応募に繋がらない……」
「面談で話は盛り上がったはずなのに、後日辞退の連絡が来る」
売り手市場が加速する今、多くの採用担当者がこのような悩みを抱えています。
候補者が複数の企業から引く手あまたな状況下では、企業側が「選ぶ」前に、まず候補者から**「選ばれる」**必要があります。
そこで今回は、候補者の意欲を劇的に高め、選考への移行率を上げる「カジュアル面談」の進め方を解説します。ポイントは、**「自社の弱みまで正直に話す」**ことでした。
そもそも「カジュアル面談」と「通常の面接」は何が違う?
まずは、両者の違いを明確に理解しておきましょう。ここを混同すると、候補者に「カジュアルと言われたのに、志望動機を聞かれて詰められた」という不信感を与えてしまいます。
| 項目 | カジュアル面談 | 通常の面接 |
| 目的 | 相互理解・興味喚起(アトラクト) | 見極め・合否判定(ジャッジ) |
| 主役 | 候補者(話を聞きたい側) | 企業(評価する側) |
| 準備 | 自社の魅力情報の整理 | 評価基準・質問項目の整理 |
| NG | 志望動機の質問、合否の判定 | 自社アピール過多 |
カジュアル面談のゴールは、採用することではなく、「自社のファンになってもらい、選考に進んでもらうこと(応募の獲得)」です。 つまり、面談担当者に求められるのは「面接官」としての振る舞いではなく、「広報・営業」としての振る舞いなのです。
応募率が劇的に変わる!カジュアル面談の「鉄板シナリオ」
「とりあえずお話ししましょう」とノープランで挑むのは危険です。以下の4ステップで構成することで、自然に意欲を高めることができます。
Step 1:アイスブレイク&目的の共有(5分)
まず、「今日は評価の場ではない」ことを明言し、心理的安全性を確保します。
「本日はお時間をいただきありがとうございます。今日は合否を判断する場ではないので、〇〇さんの今後のキャリアについてざっくばらんにお話しできればと思います」
Step 2:候補者のニーズヒアリング(15分)
いきなり自社紹介を始めるのはNGです。まずは候補者が「転職で何を叶えたいのか」「現職の何にモヤモヤしているのか」を聞き出します。
ここでの情報が、後のアピール材料になります。
Step 3:自社プレゼン(20分)
Step 2で聞いたニーズに合わせて、自社の情報を「提供」します。
- スキルアップしたい人には: 研修制度や挑戦できるプロジェクト事例を。
- 働き方を改善したい人には: リモートワークの実態や残業時間を。
相手が欲している情報に合わせて、自社の魅力をカスタマイズして伝えるのがポイントです。
Step 4:クロージング・ネクストアクション(10分)
「興味があれば応募してください」という受け身な姿勢ではなく、**「なぜあなたに応募してほしいか」**を伝えます。
「〇〇さんのお話を聞いて、当社の△△という課題解決に力を貸していただける方だと確信しました。ぜひ正式な選考に進んでいただけませんか?」
信頼を勝ち取る鍵は「RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)」
ここで、応募意欲を確実なものにするための重要なテクニックをご紹介します。
それは、自社の良いところだけでなく、「課題」や「弱み」も正直に伝えるという手法です。これを採用用語で**「RJP(Realistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)」**と呼びます。
なぜ「弱み」を話すと応募が増えるのか?
- 信頼性が高まる「うちは風通しが良くて、給料も良くて、残業もないです」という完璧すぎる話は、かえって「本当かな?」と疑われます。「実は制度が整いきっていない部分もありますが…」と正直に話すことで、良い情報(メリット)の信憑性も増します。
- 「課題解決」に燃える層を惹きつけられる「制度がない=悪い会社」と捉える人もいれば、「制度がないなら、自分が作れるチャンスだ!」と捉える人もいます。課題をオープンにすることで、その環境を楽しめる(カルチャーフィットする)人材だけをスクリーニングできるのです。
【伝え方の例】
×「うちはベンチャーなので、教育体制はありません。自分で頑張ってください」
○「現在急成長中のため、正直なところ研修制度はまだ整備途中です。しかし、手を挙げれば誰でも新しいプロジェクトのリーダーに挑戦できる環境があります。整ったレールを歩くより、自分で道を作りたい方には最適な環境です」
まとめ:選ばれる企業になるために
- カジュアル面談は「ジャッジ」ではなく**「アトラクト(魅力付け)」**の場。
- 相手のニーズを聞き出し、それに合わせた自社の魅力をプレゼンする。
- 良いことばかり言わず、**RJP(ありのままの開示)**を行うことで信頼と納得感を得る。
カジュアル面談で「自社のリアル」を伝え、それでも「面白そうだ」と言ってくれる候補者は、入社後もギャップを感じることなく、高いエンゲージメントで活躍してくれるはずです。
次回の記事では、いよいよ採用プロセスの最終段階、**「内定後のフォローとオンボーディング」**について解説します。


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